思い出は瞼の裏だけ

彼のことが好きだった。でも友達以上の関係にはなれないと知った。
だから私は友達であることを選んだ。
私にとってはそれが最善の関係だった。
それ以上の関係になろうとすると壊れてしまうから。
この関係は壊したくない。
いつまでも、いつまでも、彼のことを追い続けていたい。
彼が私のことを好きにならないことはわかっている。
それでも私のことを好きになってくれないだろうかと期待してしまう。
彼のことが好きだ。
でもそれは現在形ではもう描くことはできない。
そう、彼のことが好きだったのだ。
私の過去にたしかに存在する。
未来ではなく過去。
今でも彼のことを追っていることに変わりはない。
たとえ私の未来に彼がいないとしても。
そうこの先には彼はいないのだ。
思い出の中にしか存在しない彼。
私は彼のことが好きだった。
もう今は会うことはできない。