「リズと青い鳥」ネタバレ感想

リズと青い鳥」を再度見たのでネタバレ込みで感想を書いてみようと思う。

 

 

2期まで終わりいよいよ2年生編が始まるといったところでまさかの原作から切り抜いてのこのスピンオフ。原作よりも鎧塚みぞれと傘木希美の心情に寄り添った物語になっていて、リズと青い鳥の対比がより鮮明に明確に描かれている。

みぞれ=リズ、希美=青い鳥、として物語は進行していく。リズは青い鳥と出会い日々の生活に彩りが加わったように、みぞれは希美と出会い世界が広がっていく。私はそう思って、そう決めつけて、この物語を見ていた。

 

しかしながら実際には、みぞれ=青い鳥、希美=リズ、でありこの反転が起きる瞬間から目が離せなくなる。この反転の後に、練習が始まる直前に滝先生にオーボエソロパートからやらせてほしいとみぞれが希望する。このとき、ああもう青い鳥は飛び立つしかないんだ、と嬉しくもあり悲しくもあった。それまでのみぞれと希美の不安定さについにここでピリオドが打たれ決定的瞬間を迎えてしまった。

 

圧巻のみぞれのソロパートののちふたりは対面するのだが、ここでみぞれから希美への今までの気持ちが溢れる。もしかしたらここは今までのこと全てを希美に感謝し、別れを告げるようなことをしようとしていたのかもしれない。希美自身をいかに好きでいるかを全力でぶつけていたみぞれに対しただひとこと「みぞれのオーボエが好き」。全身に衝撃がはしる。あくまでもオーボエ。希美の回答はここにあった。

 

みぞれ=青い鳥は確かにとても納得できるし、それがわかるような形で物語も進んでいたと思う。ところがここにきて私は希美=リズ、というよりは希美をどう捉えたら良いのかがわからなくなってしまった。彼女の心情は多くは語られず、その行動からでしか推測することができない。これがまた非常に難しい。一貫した行動なのではなくずっと不安定に揺れ動いていて、それがまた彼女の迷いを表しているのかもしれないと何となく感じた。現に進路調査票を彼女もまた白紙で提出しているのである。と分かったような感じなのはこの部分だけで、彼女の心情はとても難しい。

 

この「リズと青い鳥」が2年生編でこれが物語の一部分でしかないことを恐ろしく思う。そしてこのときの部長は吉川優子である。物語は誓いのフィナーレへ。